クールで不器用な君。
「瑠璃、帰る。ん。」
さっと手を差し出してきた。
「手?」
「握る。」
七瀬くんの手は私の手を掴み、無理矢理握らされた。
付き合ってないのにこうして握られると恥ずかしい。
「どうして、手、繋ぐの?」
「なんとなく?」
なんとなくって……。
「そんなことよりもさ、俺すごく心配したんだよね。瑠璃が急に居なくなるから。」
「ごめんなさい。実は、迅人くんに連れられて話してて。」
「へぇ、迅人と。何話してたわけ?」
「いや、その……いろいろと世間話を、ね?」
「世間話、ふーん。そう。」
嘘だけど。
これ絶対信じてもらえてないよね。
「帰ったら俺と風呂入る?」
「え!?いきなり何!?」
お、お風呂……!?
え、なんで!?
「一緒にお風呂に入って何話してたか供述させようと……。」
目が……怖い。
相変わらずの無表情で言われると本気にしか聞こえてこない。
「ひぃっ。」
「嘘。冗談に決まってるじゃん。」
ははっ。と、笑う七瀬くん。
非常に珍しい。
笑ってもやっぱりかっこいいや。