クールで不器用な君。
じゃあ、俺行くから。
といって七瀬くん去っていった。
残された私は、ぼーっと昔の記憶を手繰り(たぐり)寄せようとしていた。
確か、今住んでるところに引っ越して来たのは小2の頃。
それまでは和菓子屋さんのあるおばあちゃんとおじいちゃんのところに居た。
もしかしてその時に…?
今思えば確かに、誰かとあの広い庭で遊んだ記憶はある。
でも、それが七瀬くんだとは限らないし。
うーん。
「あ、居た!」
私を探して居たのか、祐美ちゃんがやってきた。
「あ、祐美ちゃん。」
「あ、祐美ちゃん。じゃないわよ。あんたお昼は?」
「あぁ!!」
すっかり忘れていたこと。
それは今がお昼休みだってこと。
そしてまだお昼を食べていなかったこと。
「仕方ないわね、あたしのパン半分あげるわ。だから教室に戻ろ。」
「ありがとう!感謝感激だよ。」
祐美ちゃんは優しいなぁ〜。