クールで不器用な君。



放課後、いつも通り家に帰ると既にあきさんの姿は無かった。



代わりに、リビングにあるテーブルの上に手紙が置かれていた。



合鍵も、ちゃんとポストの裏に貼り付けて置いていってくれた。



【瑠璃さんへ

長い間お世話になりました。

遠い故郷へ家族と帰らなければならないことになってしまい、此方へ帰ってくることがなくなってしまったため、辞めさせて頂くこととなりました。

申し訳ありません。

奥様方には既に申しつけてあります。

そして、本当にありがとうございました。

追伸、七瀬さんのお部屋は瑠璃さんのお隣です。
掃除と、家具はちゃんと揃ってますのでご安心を。 あき】



あきさん、もういっちゃったんだ。



なんか一気に静かになったなぁ…




でも待って…



ってことは七瀬くんと二人きり?



な………なっ!



「そんな馬鹿なぁ。」



ビーンポーン



「あ、はーい。」



玄関の戸を開けると、そこにはダンボール箱とボストンバッグを持った七瀬くんが立っていた。



「どうも。」



「ど、どうぞ上がって?」



「ん。」



えっと、とりあえず部屋に案内、だよね。




「部屋に案内するから着いてきて。」



< 20 / 269 >

この作品をシェア

pagetop