クールで不器用な君。
放課後、いつも通り家に帰ると既にあきさんの姿は無かった。
代わりに、リビングにあるテーブルの上に手紙が置かれていた。
合鍵も、ちゃんとポストの裏に貼り付けて置いていってくれた。
【瑠璃さんへ
長い間お世話になりました。
遠い故郷へ家族と帰らなければならないことになってしまい、此方へ帰ってくることがなくなってしまったため、辞めさせて頂くこととなりました。
申し訳ありません。
奥様方には既に申しつけてあります。
そして、本当にありがとうございました。
追伸、七瀬さんのお部屋は瑠璃さんのお隣です。
掃除と、家具はちゃんと揃ってますのでご安心を。 あき】
あきさん、もういっちゃったんだ。
なんか一気に静かになったなぁ…
でも待って…
ってことは七瀬くんと二人きり?
な………なっ!
「そんな馬鹿なぁ。」
ビーンポーン
「あ、はーい。」
玄関の戸を開けると、そこにはダンボール箱とボストンバッグを持った七瀬くんが立っていた。
「どうも。」
「ど、どうぞ上がって?」
「ん。」
えっと、とりあえず部屋に案内、だよね。
「部屋に案内するから着いてきて。」