クールで不器用な君。
階段を上がって突き当りの角部屋が私の部屋。
そしてその隣が七瀬くん。
「七瀬くんの部屋はここだよ。」
「うわ、家具も揃ってる。山瀬さんの家って本当に凄いね。」
と、真顔で言う七瀬くん。
七瀬くんって、表情に乏しいんだなぁ。
「じゃあ、私は部屋にいるから何かあったら言ってね。」
「分かった。」
七瀬くんと別れると、自分の部屋に行き、紋々と今後の事を考えていた。
これからしばらくは七瀬くんと2人きり。
そう思うと、とても不安だった。
七瀬くん初めて話したのもつい最近だし、なんというか、七瀬くんと何を話したらいいのかよくわからない。
七瀬くんのこと、まだよく知らないし。
でも、それは追々知れる、かな。
あれ、でも待って?
お母さんは、私と七瀬くん、昔会ったことがあるって言ってたから、初めて話したのはもっと前ってことなんだよね。
ただ、私が忘れてるだけ?
七瀬くんが覚えているなら、私だけ忘れてるなんて、何だか申し訳ないな。
まぁ、とりあえず普通に、普通に接しよう。