クールで不器用な君。
「っな、瑠璃に真中……!?」
「連れてきちゃった。」
「………。」
藍くんが、執事……ニコニコしてる……?
「お、お席へご案内いたします………。」
席に案内されると、メニューを渡される。
「ごほん、こちらがメニューになります。ご注文がお決まりになりましたらお呼び下さいませ、お嬢様。」
藍くんの顔、なんか引きつってる。
まさかここでバイトしてたの?
ひとまず心を落ち着かせ、飲み物を頼んだ。
「裕美ちゃん、知ってたの?ここで藍くんが働いてるって。」
「まぁね。雄太も前にここで働いてたみたいなんだよね。んで、七瀬は雄太の紹介でここで働いてるわけ。」
「なんで教えてくれなかったの?」
「口止めされてたからさ、いろいろと。」
「そっか。」
「ここのお店、自給もかなり良いらしいんだよね。」
でも、なんで働いてるんだろう。
何か欲しいものでもあるのかな。
お金を貯めるため?
チラッと藍くんを見と、他の女性客の人にニコニコと接客をしていた。
「執事さん、かっこいいですね!結構若く見えますけど、おいくつなんですか?」
「それは、秘密です、お嬢様。」
人差し指を口の前に近づけ、しーっと、ポーズを取った。
「きゃーーっ!」
その姿にお客さんは完全にメロメロだ。
「うぅ………。」
「ほらほら、嫉妬しないの。仕事なんだし、仕方ないわよ。」
「でもぉ……。」
じと……と藍くんを眺めることしかできなくて。
結局耐えられず途中でお店を出た。