クールで不器用な君。
真っ赤な夕日が海の向こう側に見える。
「綺麗。」
つい見とれてしまいそうになる。
「瑠璃。」
不意に名前を呼ばれ振り返ると、藍くんはなんだか真剣なまなざしをしてこちらを見ていた。
「どうしたの?」
「あのさ........瑠璃は、俺のお嫁さんになってくれる?」
唐突に言われたその言葉。
その言葉に顔が緩む。
「........うんっ。私、藍くんのお嫁さんになってあげる。」
「ふっ……よかった。ねぇ、手、だして?」
左手の小指にはめられた指輪。
「え、これ……。」
「誕生日おめでとう。そんなに高いものではないけど、これで仮婚約成立。いつか本物を渡す日までは小指で我慢して?薬指には、いつかその時が来たらはめてあげるから」
あれ、誕生日……?
今日だっけ?
「もしかして今までずっと自分が誕生日だってこと気づかなかったわけ?」
はぁ、とあきれたようにため息をつく。
「全然気づかなかった。でも、嬉しい、ありがとう」
もしかして、これを買うためのバイトしてくれてたのかな。
「どういたしまして。まぁ、学校でつけたら没収されそうで危ないし、見えないようにネックレスにでもしといたら?」
「絶対手放さないようにするね。」
今日は、今までで一番うれしい誕生日でした。
END
~おまけ~
「ちょ、瑠璃!お父さんからも誕生日プレゼントあるんだからなぁ!ほら見ろ!瑠璃の大好きなぬいぐるみだぞ!?」
「ちょ、あなた、いい年してそんな可愛らしいぬいぐるみを一人で買ってたの?しかもそんな大量に……完全に危ない叔父さんね。」
「んなっ………しゅん。」
「ちなみに、あたしからは瑠璃に似合うと思ってこの洋服よっ……。」
「くっ……負けたっ……。」
瑠璃の両親は親バ....娘を溺愛してらっしゃるご様子で。