クールで不器用な君。
「ほら、皆席に着け。今日は、席替えするぞー!」
勢いよく教室のドアを開け、担任の東(あずま)先生が教室に入ってきた。
「あ、じゃああたし戻るね」
「うん。」
裕美ちゃんは、そそくさと自分の席へ戻った。
「よし、じゃあ席替え用のくじ作って来たから、みんな適当に引いていけー」
四角い箱の中に入っている紙切れを次々と引いて行く。
そしてとうとう自分の番が回ってきた。
どうか裕美ちゃんと近い席になれますように……
目を瞑り箱に手を差し込み念を込めながら、一枚紙を取ると、自分の席に座った。
「全員引いたか?ならさっさと机移動させろよ、あんまり時間ないからな」
皆一斉に動き始め、まだ開いてなかった紙を急いで開き番号を確認した。
ええと……私は______
紙を開くとそこには【30】と言う数字が書かれていた。
窓側から二番目の一番後ろ…ね。
結構いい席かも。
隣の席、誰かな。
裕美ちゃんと席が近ければいいけど……
そう思いながら、席を移動する準備をした。