クールで不器用な君。



皆で購買に寄った後、屋上でお昼を食べることになった。





パンを食べながら裕美ちゃんと話していると七瀬くんから視線を感じた。




「ね、今山瀬さんが食べてるパンもしかしてチョコチーズクリームパン?」




「うん、そうだけど。」




実はこのパン、毎日数量10個という貴重なパンなのだ。




一見見た目も中身もシンプルだけど、味は格別なんだ。




とろけるような甘さのチョコと、酸味の中に甘さを感じさせる不思議なクリームチーズと、フワッとしたクリームの三つ巴。




そんなパンを、なぜ私が買えたかというと…………いいや、正確には貰ったんだ。



見知らぬ優しい先輩に。



なんで貰えたのか、未だ不明だ。



「良ければ一口くれない?」



「うん、いいよ。」



ぐッと近づき、私の手にあるチョコチーズクリームパンにかぶりつく。




「うま………。ありがと。」




「いいえ。」




そして残りのパンを、口に頬張る……………





「あ、それって、七瀬と間接キスしたってことになるんじゃない?」




時既に遅し。




もう口付けちゃってます。




間接キス



「うっわ、瑠璃ちゃん顔真っ赤。」



「む。」



もういいもんね。



別に間接キスなんてへでもないもん。



直接キスしたわけじゃないんだから。




ふと七瀬くんに視線を移すと、頭にハテナマークをつけているかのようにぽかんとしていた。






七瀬くんは天然だっ…!










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