クールで不器用な君。



家に帰れば七瀬くんと二人きり。




男の人と二人っきりだなんて初めてのこと。



やっぱり慣れない。



リビングでテスト勉強をしていると不意に七瀬くんが言ってきた。



「山瀬さん、今日は俺が夕飯作るよ。」


一緒に暮らし始めて3日目。


交代制にしようと七瀬くんは言ったものの、不器用そうな七瀬くんには任せられず、私が作っていた。



「え、でも作れるの?」



そんな私は不安でしょうがない。



「大丈夫、ちゃんとレシピ覚えたし、その通りにやれば出来るでしょ?」




「うん…まぁ、そうだね。」




親指を立てて、任せて。というような感じだけど…。




出来るのかな…




やっぱり不安しかない。



でも、まぁ、作ったの食べてみなきゃわからない…………か。




ちらちらとキッチンに視線を移しながらも、じっと出来るのを待った。


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