クールで不器用な君。
その後、私も手伝いながらもピラフを作り上げた。
一口味見すると、口いっぱいに風味が広がって、最高だ。
「おいしい…!」
「まぁ、レシピ通りだし。」
いくらレシピ通りだとはいえ、こんなにも完璧に作れるとは思っていなかった。
少し食べ過ぎたかなっていうくらい食べると、食器を片付けお風呂に入った。
先にお風呂に入り、上がれば案の定七瀬くんはソファでテレビを見ている。
何を見てるのかなと思い覗き込むと、画面の奥で熱いキスを交わしている男女。
「…っな、七瀬…くん?」
七瀬くんっていつもこういうの見てるのかな…
後ろから声をかけたせいか肩をピクリと動かす。
「ん…………山瀬さんか。」
「えと…あの。」
二人だけの空間。
画面の奥では今だにキスを交わしている 男女がいる。
「山瀬さん、どうかした?」
「いや、七瀬くんもこういうの見るんだなぁ…って思って。」
それを言うと七瀬くんは何のこと?と言うように首を傾げた。
少しして何のことか分かったらしい。
「あぁ。な暇だったからテレビつけたんだけど、眠くなっちゃってチャンネル変えずにそのまま寝ちゃってたんだよね。」
あ、それで声かけたときにあんな反応だったんだ。
それに、七瀬くんがあんなのまじまじと見るわけ無いよね。
「そうだったんだ。びっくりしちゃった。」
「ふーん。じゃ俺も風呂行って来るね。」
山瀬さんは部屋でテスト勉強でもしてたら?
と、不適な笑みをこぼしながらお風呂場に消えて行った。
自分は勉強出来るからって、反論できないことを知っていて言うなんて、意地悪だ。
仕方ない、勉強しよ。