クールで不器用な君。
「それにしても、瑠璃の隣があの七瀬になるとはねー」
「あー、俺も山瀬さんと席が近かかったらな~。七瀬のやつズルイ。席変わってんねーかな」
佐伯くんは口を尖らせて膨れた。
「七瀬ってさ、いっつも授業中は上の空って感じよねぇ」
「そうなの?」
「うん。授業中は、寝てるか音楽聞いてるかどっか眺めてるかのどれかよ?授業なんてまともに聞いてないのよ」
そういえば、さっきも何か音楽を聴いていたなぁ。
「そうなんだ」
「それでいて頭がいいとか、どうなってるのよ、あの脳みそは!」
「ちゃんと家とかで勉強してるんだよ、きっと」
「てか、皆あいつのこと好きだとか言うけど、あたし的には、あいつのどこに好きになれる要素があるのか、さっぱりよ」
「まぁ、見た目…とか?」
クールだけど、すごくかっこいいと思う。
あ、もちろん恋愛感情はないけど、一般論的に。
「はぁ、皆騙されてるのよ」
そういう裕美ちゃんは、七瀬くんに対して随分と冷たかった。