クールで不器用な君。




「それにしても、瑠璃の隣があの七瀬になるとはねー」




「あー、俺も山瀬さんと席が近かかったらな~。七瀬のやつズルイ。席変わってんねーかな」



佐伯くんは口を尖らせて膨れた。




「七瀬ってさ、いっつも授業中は上の空って感じよねぇ」




「そうなの?」




「うん。授業中は、寝てるか音楽聞いてるかどっか眺めてるかのどれかよ?授業なんてまともに聞いてないのよ」




そういえば、さっきも何か音楽を聴いていたなぁ。



「そうなんだ」



「それでいて頭がいいとか、どうなってるのよ、あの脳みそは!」




「ちゃんと家とかで勉強してるんだよ、きっと」




「てか、皆あいつのこと好きだとか言うけど、あたし的には、あいつのどこに好きになれる要素があるのか、さっぱりよ」





「まぁ、見た目…とか?」




クールだけど、すごくかっこいいと思う。




あ、もちろん恋愛感情はないけど、一般論的に。




「はぁ、皆騙されてるのよ」




そういう裕美ちゃんは、七瀬くんに対して随分と冷たかった。



< 6 / 269 >

この作品をシェア

pagetop