クールで不器用な君。
今俺が居るのは保健室。
目の前のベッドで寝て居るのは山瀬さん。
昼休み山瀬さんが階段から落ちて今は保健室に居ると聞いた。
昼休みも終わりに差し掛かっていたのもあって放課後に迎えに行くことにした。
今の時刻は放課後。
「藍…ちゃ…ん。」
藍ちゃん
確かに彼女はそう言った。
「瑠璃…。」
「んっ……藍ちゃん?」
目が覚めての第一声はそれだった。
「なに?」
そう応えると山瀬さんはぱあっと明るい表情になった。
「藍ちゃん!あのね、私思い出したよ!」
そして、起き上がって俺の手を握ると大きな声で言う。
思い出した…?
山瀬さんと俺が幼い頃の事を?
「山瀬さん、それ本当?」
「うん!なんでこんな大切なこと忘れてたのかな、私!」
「まぁ、うん、良かったんじゃ無い?」
「なんかね?なんか変なの。七瀬くんは藍ちゃんでしょ?」
「そうだけど。」
「なんかごっちゃになっちゃって…。」
うーん、と唸る山瀬さん。
まぁ、そりゃあそうか。
「藍ちゃん…七瀬くん…藍ちゃん?」
「っというか大丈夫なわけ?」
「何が…?」
「階段から落ちたんでしょ?」