クールで不器用な君。




朝早くに起きると、何を着て行こうやらなんやらであっという間に時間は過ぎた。






悩んだ末に選んだのは、白のフレアスカートに肩が出たシフォントップス、そしてパンプスで合わせた。



ストレートの髪は編み込みを入れ、毛先を少し巻いた。




リビングに行くと、休みの日はいつもお昼まで起きない七瀬くんがテレビを見ていた。





「七瀬くんおはよう。」





「はよ。」





「私出かけてくるね。お昼大丈夫?」





「うん。ってかどこ行くわけ?そんな可愛い格好して。」




七瀬くん今さらっと『可愛い』って…。




あ、いや、服が可愛いんだよね。



うん。




でも、そういってくれて嬉しいって思っている自分もいる。





「なにぼーっとしてんの?どこ行くのって聞いてんだけど。」




「あ、ごめん。えと、どこに行くかはよくわからないけどとりあえず駅に行くの。」





「それってやっぱり佐伯と……?」




「うん。」




「ふーん。」




七瀬くんは聞いておきながらどうでもいいとでも言いたいかのように返事をする。







「行ってくるね。夕方には帰ると思う。」




「ん。」




そっけない返事で見送られると私は足早に家を出た。







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