True Love
家まではすごく近い。
歩いて、2,3分だ。
家の方に曲がろうとしたとき、ずっと向こうから雨が降ってるのに傘も指さずに歩いてくる人影が見えた。
なんでだろう。
ここからじゃ誰かなんて見えない距離なのに、
私の足は勝手にそっちへ歩きだす。
いや、
だんだんと小走りに、そしてついにはその人のほうへ走り出していた。
だんだんと近づいていくにつれてはっきりしていく。
『ハァッ ハァッ
っ、どうしたの?ひなた、傘は? 』
やっぱりそうだ。
すっかりびしょ濡れになった制服。
髪から滴が流れ落ちる。
『とにかく……傘『いい。もうすぐつくから。』
私の使っていた傘に入れようとしたんだけど
断られた。
『……おばさん、心配してるよ。』
『……別に大丈夫だって。』
『……なにが……大丈夫?』
『……いいんだよ。誰に迷惑かけるわけでもないから。』