あなたへ。
1-6


 私は千葉の大学に入って、彼は北海道の大学に入った。
 大学でも私はひたすら走っていた。授業なんてそっちのけ。
 走ることが楽しかったから仕方がない。
 授業がない日も大学へ行って、一日中走った。
 一人暮らしだったからお金はないし、近くに知り合いもいない。だから走る。走ればお金もかかんないし、時間も潰せる。そして楽しい。
 夏休みまでは部活のために学校に行ったようなもの。
 千葉にいる間は、彼のことなんてすっかり忘れていた。
 たぶん。


 夏休みは家に帰った。
 本当は帰るつもりじゃなかったけど、家に置き忘れた荷物もあったし、お母さんが帰って来いってうるさかったから。
 ゴールデンウィークは帰らなかったから、まあいいかな。
 そんな感じ。

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