あなたへ。
1-7
夏休みは中学校の友達や、高校の友達と何回か集まった。
みんな大人びていた。
なんだか私だけ取り残された感じ。
中には彼氏が出来た子もいた。
私はそういうのに興味がなかったから何とも思わなかったと思う。
たぶん。
家にいても暇だから、走ろうかな、そう思ってまた私は走った。
今度は河原をずっと南下。
五キロくらい走ったとき、私と同じようにランニングをしている人とすれ違う。
「あれ?井上さん?」
いきなりでびっくりした。立ち止まって見みると、彼が立っていた。
「久しぶり」そう言われて、私は曖昧に返事をする。
「うん」
彼は背が伸びていて、長めだった髪の毛を短く切っていた。凄くサッパリしている。
「背伸びたの?」
「それなりに」
「いいなあ」
「どうして?」
「私はあと五センチ欲しいから」
「そんなに?」
「うん」
「走るために?」
「たぶん」
「ふ~ん」
それから「少し休まない?」そう言われた。
私は言われるまま土手に座った。
「君の家はこの近くなの?」
「ううん。北橋の近く」
「そんなに遠いの?」彼は驚く。
「うん」
「ここから六キロぐらい離れてるよ?」
「そうなんだ」
「知らなかったの?」
「うん」
「ふ~ん」
「家近くなの?」
「僕?」
「うん」
「近くだよ」
「どのくらい?」
「すぐそこ」そう言って彼は指差した。
私は指された方向じゃなくて、彼の額を見る。
「どうかしたの?」
「どのくらい走ったの?」
「僕?」
「うん」
「少し走ってばてた」
「少しって?」
「二キロぐらい」
「それだけ?」
「それだけ」
彼の額には汗がついていて、私はそれを見ていた。
私は汗をかくのも好きだけど、他人がびっしょり濡れている様を見るのはもっと好きだった。汗で濡れたシャツを見れば手に取って、顔を埋めたくなるし、首筋を流れる汗を見たりなんかしたら、舐めりたい欲求を抑えるのに一苦労する。
友達には変って言われるけど仕方がない。だって体が勝手に興奮するから。
男の人が女の人の裸を見るのと一緒。
そんな感じ。
たぶん。
「君は大学でも走ってるの?」
「うん」
「ふ~ん」
「トランペットまだ吹いてる?」
「もうやめたよ」
みんな大人びていた。
なんだか私だけ取り残された感じ。
中には彼氏が出来た子もいた。
私はそういうのに興味がなかったから何とも思わなかったと思う。
たぶん。
家にいても暇だから、走ろうかな、そう思ってまた私は走った。
今度は河原をずっと南下。
五キロくらい走ったとき、私と同じようにランニングをしている人とすれ違う。
「あれ?井上さん?」
いきなりでびっくりした。立ち止まって見みると、彼が立っていた。
「久しぶり」そう言われて、私は曖昧に返事をする。
「うん」
彼は背が伸びていて、長めだった髪の毛を短く切っていた。凄くサッパリしている。
「背伸びたの?」
「それなりに」
「いいなあ」
「どうして?」
「私はあと五センチ欲しいから」
「そんなに?」
「うん」
「走るために?」
「たぶん」
「ふ~ん」
それから「少し休まない?」そう言われた。
私は言われるまま土手に座った。
「君の家はこの近くなの?」
「ううん。北橋の近く」
「そんなに遠いの?」彼は驚く。
「うん」
「ここから六キロぐらい離れてるよ?」
「そうなんだ」
「知らなかったの?」
「うん」
「ふ~ん」
「家近くなの?」
「僕?」
「うん」
「近くだよ」
「どのくらい?」
「すぐそこ」そう言って彼は指差した。
私は指された方向じゃなくて、彼の額を見る。
「どうかしたの?」
「どのくらい走ったの?」
「僕?」
「うん」
「少し走ってばてた」
「少しって?」
「二キロぐらい」
「それだけ?」
「それだけ」
彼の額には汗がついていて、私はそれを見ていた。
私は汗をかくのも好きだけど、他人がびっしょり濡れている様を見るのはもっと好きだった。汗で濡れたシャツを見れば手に取って、顔を埋めたくなるし、首筋を流れる汗を見たりなんかしたら、舐めりたい欲求を抑えるのに一苦労する。
友達には変って言われるけど仕方がない。だって体が勝手に興奮するから。
男の人が女の人の裸を見るのと一緒。
そんな感じ。
たぶん。
「君は大学でも走ってるの?」
「うん」
「ふ~ん」
「トランペットまだ吹いてる?」
「もうやめたよ」