切美
「聞いてなかったの?これ以上うっとうしい態度をとるなら、あなたを消すって言ったの」
「そんなこと、できるわけ」
「できないと思う?」切美の目は自信に満ちていた。「わたしは充分に成長したの。もうあなたに媚びる必要はないわ。いつでもあなたを完全にのっとることができるのだから」
「そんな」
剛は顔を青くしてあとずさった。そしてようやく気がついた。
自分がとんでもない化物を養っていたことに。
剛は自分のいままでの行動を後悔した。
あのとき、化粧品や女物の服を買うのをがまんしていれば、自分はいま普通に過ごしていたのだ。