切美
その日のうちに、剛は部屋にある化粧品や女物の服をすべて捨てた。
そうすると、切美はぴたりとあらわれなくなった。
やはり化粧品を捨てたことがよかったようだ。
そういえば、眠っている間に身体をのっとられたときも、切美は必ず化粧をしていた。
化粧がなければ、切美は何もできないのだ。
それでも剛は、しばらくの間ろくに眠ることができなかった。ひと月たっても何も起こらないとわかったときに、ようやく安心して眠れるようになった。