それでも僕は君を離さないⅡ
「笹尾。奈々は?」

坂下が苦しげな声を出した。

「後ろだ。見てくる。」

俺はそう言ったものの

その場に立ちすくんだ。

重力に従い車内の全てが変な方向へ散乱していて

それを目にした俺の疲労限界の脳は

この光景を把握できてない状態だった。

あちこちからうめき声が聞こえた。

俺は傾いた座席を一つずつまたいで

後方を目指した。

永遠にたどり着けない錯覚と戦いながら。

痛みを無視して動いたら全身の筋肉が悲鳴を上げた。

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