それでも僕は君を離さないⅡ
「覚えて、ないのか?」

「あなたは私の彼、なんですか?」

俺は呆然として言葉が出なかった。

「ごめんなさい。私があなただったら今どんなに悲しいかわかるので。」

「そんな風に言えるのは君だけだ。俺は大学の時から知っているから。」

「大学?」

「研究室を覚えてないのか?」

奈々の記憶から俺は完全に消えていた。

その事実に愕然として

俺はベッドの傍らに立っているのがやっとだった。

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