それでも僕は君を離さないⅡ
僕はシートベルトをしていなかった。

最初の衝撃でシートから体が浮いた。

それはスローモーションのように感じたが

次の瞬間加速してどこかへすっ飛んだ。

その直後の記憶はなかった。

2度目の衝撃でまた飛ばされた。

まるでシェイカーの中でクラッシュされたようだった。

あの時僕はリーダー笹尾の声で意識が戻った。

全身を強く打ったため

今は自分一人で動くことができないほどの痛みがあった。

肋骨にヒビが入った程度で済んだのは不幸中の幸いだったが

肋骨と肋骨の間の筋肉も傷め

息をするにもひと苦労だ。

奈々が入院したと聞き

ひと目会いたかったが

僕の今の状態では逆に彼女に心配をかけるのがオチだ。

笹尾は会いに行ったのだろうか?

彼はタフな男だとつくづく思った。

僕は奈々が幸せなら

それでいいと自分に言い聞かせた。

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