それでも僕は君を離さないⅡ
俺は今夜都内に帰り

明日からラボへ出勤する。

週末はまたここに戻って

奈々に会いたいと思っていた。

ラウンジにいた俺に気づいた彼女の両親がそばに来た。

「会社の方ですよね。娘がお世話になりまして。大丈夫だと言うので私たちは帰ります。」

物腰の柔らかそうな母親が言った。

俺は詫びたかった。

ひと言謝りたかった。

「すみません。自分がもっとしっかりしていなければいけなかった。」

彼らは俺の言葉に驚いたようだった。

「娘がご迷惑をおかけしたのではありませんか?あなたのことで何か思い悩んでいるのを感じました。」

俺は返す言葉が出なかった。

奈々とのことを伝えたところで無意味だとわかっていたからだ。

「いいえ、何も。早く元気になってほしいだけです。」

彼らは俺の願いと同じことを言い残して帰った。

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