それでも僕は君を離さないⅡ
「残りは来週にしないと事務室の方まで手が回らないかも。」

私は入院で2日間休んだので

そのツケがこの片付かない結果となり

あちこち無造作に置かれて

資材室はかなり乱雑になっていた。

「ヤダ、もう5時じゃない。」

壁に掛かった大きな時計を見た。

デスクのPCをシャットダウンした。

その時

ガチャッとノックもなしに

いきなりドアが開いたので

私は心臓がドキッとした。

スタスタと大股で入ってきた人を見た。

「先輩?」

私はあっけにとられた。

笹尾先輩がどうしてここにいるのかしら?

白衣を着て大学の研究室にいたそのままの姿に

私はしばらく開いた口がふさがらなかった。

「笹尾先輩、どうしてここにいるんですか?」

先輩は私の言葉が理解できないのか

入って来るなり固まったままだった。

「奈々?」

「はい。」

「いつ退院したんだ?」

「水曜日ですけど。」

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