それでも僕は君を離さないⅡ
奈々は俺がラボへ戻ってすぐに意識が戻り

本人の希望で自宅へ帰ることになった。

付き添った社員は会社へ戻り

奈々は階下の広いエントランスで

ソファの一つに座っていた。

俺が病院の自動ドアを足早に通り抜けても

必ずお互いの視野に入る位置にいた。

「奈々!」

「先輩。きっと来てもらえると思ってました。」

「大丈夫か?」

「はい。」

俺は隣に座ってスマホを渡した。

「デスクに忘れてあった。」

「ありがとうございます。」

「送るよ。」

「一度会社に戻ってもいいですか?」

「もちろん。」

彼女は俺が来ることをわかっていた。

俺の想いは

彼女をもう片時も離せないほどだ。

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