雨のち晴れ
プロローグ
**プロローグ**
「ん…」
妙な体のだるさから、目覚まし時計のセットした時間前に目が覚めた。
ゆっくりとベッドから体を起こして、背伸びをする。
朝の8時。
今日はお昼から講義だから、まだまだ時間はある。
そのままカーテンと窓を開ける。
どんよりとした重たい雲。
涼しいかと思いきや、じめっと湿気を含んだ空気が部屋に流れ込む。
もう、梅雨か…
また、私の嫌いな季節がやってきた。
1番嫌いな季節。
マスターが私の前からいなくなってちょうど2年。
この空気を感じると、再び苦しい思いがこみ上げる。
テレビを付けると、能天気なアナウンサーの声が今日の占いを発表していた。
「9月生まれのあなた、ごめんなさい。本日最下位です。自分の予定が大きく狂ってしまいそう、そんなあなたのラッキーアイテムは…」
ふーん、最下位なんだって。
占いは信じない。だからこんなこと、どうってことない。
朝ごはん、どうしようかな。
いつもの今日なら、朝とお昼ご飯を一緒にとるんだけど、無駄に早く起きてしまった。
「あ…」
今 占いで、今日は予定が狂うとかって言ってたっけ。
私は鼻で笑って、テレビのチャンネルを変え、食パン1枚をトースターに入れた。
そして、いつものように、インスタントコーヒーをマグカップに入れた。
「梅雨か…」
私は改めてそう思った。