雨のち晴れ


私、このままどうなるの?

そんな不安すら頭によぎる。

ずっとこのまま、苦しみ続けるの?
追いかけていたマスターにはもう頼れない…。


マスターと共にした高校3年間と少し。

そこにはたくさんの色や光、晴れた心があった。

どんな時でも私に答えを導いてくれて、
どんな時でも優しかったマスター。

マスターは謎めいたところもあった、それでも安らげる人で、カフェ・リベルタは私の唯一の居場所だった。

温かな気持ちで私を迎え入れてくれた。

私には帰る場所があった。


なんで、死んじゃうの…。

早すぎるよ。
私にはマスターが必要なのに。

マスターにとって私って何だったのかな?

せめて、ちゃんと言って欲しかった。

ちゃんと話したかった。

もっともっと、マスターに伝えたいことがあった。

もっともっと、お礼がしたかった。

マスターには感謝しても仕切れないのに。


「……っ」

また鼻のあたりがツンとしたかと思うと、スマホから短いメロディーが鳴った。

この音は多分メールだ。

もちろん見る気になれなくて、ベッドの中から私は動かなかった。


寝不足で頭も胃も重いせいか、目を閉じると激しい睡魔に襲われた。


……少し、休もう。


やっとの思いで、私は眠りの世界へと足を運んだ。


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