雨のち晴れ
その場でボーッとしていると、お腹が鳴った。
皮肉なのもね、こんな時でもお腹は空くんだから。
私は何かを嘲笑うかのように、鼻で笑った。
でも、気持ち悪さと頭の重さは、寝たからかスッキリしたみたい。
私はインスタントコーヒーを入れた。
「美味しくないなぁ…」
美味しいコーヒー、飲みたいな。
食パンのトースト、目玉焼きと焼きベーコンを作り、小さなサラダとヨーグルトをテーブルに並べた。
悲しみを忘れたくて、無我夢中で用意をしていたら、しっかりとしたご飯が出来上がっていた。
私は無言で食べる。
「……。」
美味し…くないよ。
1人で食べるご飯。
いつものことなのに、毎日の当たり前のことなのに。
こんなに人の温もりが恋しいと思ってしまうのはなぜ?
マスターの面影とともに、正樹が浮かぶ。
どうして———
頭をブンブンと振る。
正樹が現れて、私はどんどんおかしくなっている。
こんな風に、誰かを頼りたいだなんて思ったことはない。
「バカみたい。もうなんなの。」
自己嫌悪。そんな気分だった。
正樹は、マスターの何を知っているの?
マスターと親戚以上の関係なの?
だってアルバイトって…
「はぁ…」
考えれば考えるほど分からなくなる。