雨のち晴れ


前に進まなきゃ、と思うもののやっぱり怖かった。

これ以上知ることも、これ以上の現実を受け入れることも。

今だけでもういっぱいいっぱいなのに。


それでも、私 このままでいいの?

私は現実から逃げているだけ?
受け入れるのをただ拒否しているだけ?
目を向けていないだけ?


「……。」

分かってはいるけど、なかなか気持ちと頭が追いつかない。

トーストをかじりながら、今日何度目かのため息を漏らした。


何が正解で、何が嘘なのか———


やっぱりこの世界は好きじゃない。

私には、カフェ・リベルタだけの世界で良かった。


だからと言って、もう足掻いてもしょうがないよね。

こんなのただの屁理屈。
子どもの我が儘。

「進まなきゃ。」

何もしないで、このままいたってきっと後悔する。

マスターとお別れした時のように———


時計の秒針がやけに大きく感じた。

私は残りかけの美味しくないコーヒーを、身体に流し込んだ。


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