雨のち晴れ
「あの、伯父さん…」
「ん?何かな?」
俺は立ち上がり伯父さんに頭を下げた。
「ここで、アルバイトさせてください。」
「ほう…」
「俺、その、なんていうか。幼い頃からなかなか伯父さんにも会えなかったし、伯父さんも俺のことなんて知らないけど。
でも変な言い方ですけど、伯父さんと仲良くなりたいっていうか。」
この気持ちをどう表現したらいいか分からず、早口で言っていると、伯父さんは軽快に笑った。
「正樹くん、ずいぶん面白い子だな。」
「あはは…そうっすかね。」
「まぁ、とりあえず座って座って。」
伯父さんに促されて、再び腰掛けた。
その時、店内のBGMが変わった。
カウンターの端にはレコードがあり、CDなどの音ではなく、その時レコードだと気付く。
「正直な話ね。」
伯父さんはゆっくりと話し出す。
「正樹くんがいつかこのお店にやって来るんじゃないかなって思っていたんだよ。」
「えっ…」
「幼い頃の君に会った時、なんとなく僕に似ているなぁって思ったんだ。
なんだろう…感性っていうのかな?」
突然の伯父さんの言葉に俺は言葉を詰まらせた。
「あ、似てるだなんて失礼だったかな。気に障ってしまったらごめんね。」
「いや、そんな。とんでもないっす。」
伯父さんはフワッと笑った。