雨のち晴れ


「アルバイト、歓迎するよ。」

「えっ、本当ですか?」

「もちろん。
ただ、今までバイトの子なんて取ってきてないから、僕も右往左往することがあるかもしれないけれど。それでもいいかい?」

「もちろんです!」

俺は笑顔になり、また立ち上がって伯父さんに頭を下げた。

「よろしくお願いします!」


伯父さんは「こちらこそ。」と微笑んで、自分のコーヒーを淹れた。


そう、俺がT大に進学を決め、ここの地域に来た紛れもない理由———

カフェ・リベルタでアルバイトをするためだった。

ずっと伯父さんと深い話をしたいと思っていた。

きっと自分には無い世界が広がって、新たなものを得られるだろうと。


ここの住所を母親には聞けなかったから、親戚中を片っ端から当たった。

伯父さんは独身らしく、正確な住所をなかなか知っている人もいなくて苦労した。

そしてようやく知れた時は、本当に嬉しかった。

それは、伯父さんに一歩近付いた時だった。


それからというものの、俺は大学とアルバイトを両立しながら毎日を過ごした。

昔から遊ぶことや友達とつるむことが、あまり好きでは無かったため、サークルなどには入らず、軽い友達付き合いをしながら過ごした。


特別 彼女を欲しいとも思わなかったが、同じ学部の子やゼミの子から告白をされ、何人かとは付き合ってみたものの、淡泊だった俺が気に入らなかったのか全部3ヶ月もしないうちに別れた。

それよりも、俺はバイトの方が何倍も楽しかった。


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