雨のち晴れ


伯父さんに告げられたことのダメージは大きく、2、3日の間は仕事もままならなかった。

社会人になって初めて調子が悪いと感じた。

上司にも急にどうした?と心配され、アメリカ不安か?と笑いながらからかわれた。

そうなのだ、それも問題だった。

朝比奈さんを見守ると言うものの、俺は3年間日本を離れる。
これはもう、どうにもこうにも変えられない事実だった。

そのことをこの間の帰り際に伯父さんに伝えたものの、伯父さんはそれでもいいと言った。

ようやく心の整理がつき、伯父さんに言われた通りに1度お店を覗きに行った。



その日は雨。

軒下で雨宿りを装いながら中を覗く。
いつの日かの朝比奈さん———紗子のように。


紗子を初めて見たときの、なんとも言えない衝撃は今でも忘れない。

身体全体にに電撃が走るような、ビリビリっとしたような、そんな感じ。
胸がつかえ、紗子から目が離せなくなった。

伯父さんが言っていた通り、ガラス越しからでも分かるような惹かれる女性だった。


「……。」

俺は自分の人生において初めて、一目惚れをした。
笑ってしまうような古典的で、典型的な一目惚れ。

しかもまだ相手は未成年。子どもだ。

俺はしばらくの間、紗子に見惚れながらその場に立ち尽くしていた。


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