雨のち晴れ
真実(2)
**真実(2)**
風が目の前をビューっと駆け抜け、紅葉が綺麗に舞った。
私はまっすぐ前を向いて、静かに正樹の話を聞いた。
「そう…」
ある程度話を聞き終え、私は口から空気を出すかのように呟いた。
色々なこと、すべてがつながったような気がした。
それでも、はっきりと残るのは悲しみという感情だけ。
マスターのことを聞いて、ただただ会いたいという気持ちが膨らんでしまった。
ねぇ、マスター、そんなのってない。あんまりじゃない。
私の気持ちはどうなるの?
「紗子、俺な…」
また正樹が口を開く。
「俺、伯父さんと一度だけ恋愛の話をした時の〝運命〟について時々考えるんだ。
俺にとって紗子は運命の人だと思う。馬鹿馬鹿しいと思うだろうけど、本当に何か感じるものがあるから。
だから、俺は紗子の力になりたい。紗子に寄り添いたい。」
正樹が必要以上に私に優しくしてくれた理由、思ってくれた理由―――
全部私の知らないところで、そんなことがあったんだね。
「正樹、ありがとう。」
気持ちの整理は簡単にはつかないけど、正樹には感謝しなくちゃ。
「紗子、これ…」
そして正樹は私に、綺麗な水色の封筒を差し出した。
「伯父さんからの手紙だよ。もちろん、俺読んでないから。
やっと紗子に渡せる時が来たよ。」
私は震える手を必死に隠して、正樹から手紙を受け取った。
「マスター…」
頭に浮かぶのは、優しい優しいマスターの表情。