雨のち晴れ


僕の甥の正樹も、少し紗子と似ているところがある気がするよ。

正樹はあのお店で初めてとったバイトの子でね、僕も何かと正樹のこと頼りにしているんだ。


実を言うとね、正樹に紗子のこと、卒業まで見守ってもらえるようにお願いをしました。
ちょっと大きなお世話だったかな。

でももし何か困ったことがあったら正樹を頼ってみて。きっと力になってくれると思うから。



紗子には感謝してもしきれない。
そしてもっと思い出もたくさん作りたかったな。

紗子が幸せになること、僕は本当に心の底からそれだけを願っている。

紗子はよく、自分の心は雨が降っているだなんて言っていたね。

でも、もうそれ以上の雨は降らせないで。
悲しみでいっぱいにしないでほしい。

晴れ渡りますように、希望の光でいっぱいになりますように。
僕はそれを本当に願っている。

大丈夫、紗子。顔を上げて、前を見て。


窮屈なこと、理不尽なこと、悲しいこと、そんなことばかりの世の中じゃないよ。

またきっとどこかで会える。それまで少しのお別れかな。
傍にはいないけれど、僕はずっと空から紗子のこと、見守っているよ。


僕は紗子に出会えて本当に幸せでした。

そして紗子は僕にとって誇りです。

紗子、本当にありがとう。


柳 浩一】



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