雨のち晴れ


「…っ、うっ…うっ…」

マスターからの手紙を読み終えた私は、涙を止めることが出来なかった。
嗚咽を堪えることに必死で、口元に手を当てる。

正樹はそんな私を自分の方に寄せ、あやすように背中を撫ででくれた。


マスター、マスターは幸せだったの?

こんなどうしようもない私と出会えて、良かっただなんて思ってくれていたの?


私ばっかりが、マスターと出会えてずっと幸せなんだと思っていた。
でも私も少しはマスターの中の一部になれたの?

嬉しいのか、悲しいのか、切ないのか…たくさんの感情が私の中を駆け巡る。

手紙はマスターの優しさと愛情で溢れていた。


マスターはこんなにも私のことを考えてくれていたんだね。

決して、何も考えずに私の前から姿を消したんじゃない。

ずっとずっと大切に思ってくれた。


家族―――

その言葉が何より嬉しかった。自分が救われるような気がした。

そして、誇り―――


何にもない私の世界に、やっぱりマスターは光を、そして道を与えてくれる。

空へ旅立ってからも、きっと、ずっと見守ってくれていたんだね。
いつも空から、私のことを温かく、優しく。


「…っうぅ…」

私、何にも分かってなかった。

マスターのこと、1番に理解しているつもりだった。

それなのに……
やっぱり私はまだまだ未熟で、子どもだ。


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