雨のち晴れ


———

—————

「お邪魔します…」

紅葉を楽しんだあとは、正樹の家へ3回目のお宅訪問。

「はぁー、疲れたなぁ。人多かったもんな。紗子、ゆっくり休んでいいぞ。」

「うん。」

相変わらず綺麗な家。そして木の家具が本当に落ち着く。

私はソファへ深く座った。

久々の外出。正樹が言うように、身体的にも精神的にも少し疲れてしまった。

座った途端、睡魔に襲われる。

あ、やば……

「紗子、なんなら少し昼寝していいぞ?」

「大丈夫。」

「んな、目トロンとさせて言うなよ。相当、その顔誘ってるからな?」

「え?」

「あぁ、こっちの話。」

正樹は寝室の方へ向かい毛布を持って来てくれた。

「俺、ちょっと夜飯の買い出し行ってくるから。夜飯は任せといて。」

「でも…」

夜ごはんは正樹がご馳走してくれることになった。どうしても私に作りたいメニューがあるらしい。

だからこそ、買い出しまで一人で行かせてしまうのは申し訳なかった。

「伯父さんのこともあったし、ここ数日、紗子疲れてるだろう?そもそも今日誘ったのも俺なんだから、気にすんな。」

正樹は優しく笑って、私に毛布をかけてくれた。

すっかり冷えた身体が、温まるような気がした。

「じゃ、じゃあお言葉に甘えて…」

私は毛布にうずくまる。

こうやって誰かが傍にいてくれる安心感。ホッとして、安心して眠れられる。

ここ数日は、寝ても疲れが取れなかった気がしたから。
精神的にしんどかったんだと思う。


< 135 / 173 >

この作品をシェア

pagetop