雨のち晴れ


「は?何言って…」

「もう紗子先輩は確実に森岡さんのこと、好きです!」

い、いやいや…
ドヤ顔でそんなことを他人に言われても困る。

自分のことは、自分にしか分からないでしょ?


「いつまでこんな関係続けるおつもりですか?こんなの森岡さんが可哀そうです。絵里は紗子先輩の味方だけど、ダラダラとこんな風に引きずるのはどうかと思います。」

「……。」

絵里の言葉に思わず黙り込んでしまった。

「いつも、どんな気持ちで森岡さんが先輩の元に来ているのかどうか…NOならNOで言わないと。」


分かっている、それは重々承知だ。正樹に会うたびにそれは感じている。

思いを伝えてくれた正樹。そしてその答えすら急かさない正樹。


正樹は本当に優しい。私のことを大切に思っていてくれている。

私が黙り込んでしまったからなのか、絵里は「すみません…」と謝った。

「絵里っていつもいつも余計なお世話ですよね。すみません。」

「ううん、ありがとう。」

「え?」

「そのことについては、ずっと考えていることだから。
でもどこか正樹の優しさに甘えて逃げて来た。でも絵里に言われてちゃんと考えなきゃって思ったよ。」

「そうですか…」

「なんで絵里がそんな顔するのよ。絵里こそ、彼氏さんにちゃんと気持ち伝えないと、自分が苦しいわよ?」

「そうですよね、本当に、絵里なんかが人のこと言える立場じゃないのに。
紗子先輩のことになると、なんていうか、自分のこと以上に熱くなっちゃいます。」

苦笑いをする絵里。


正樹にしても、絵里にしても、こうして私のことを考えてくれる。

きっとそれってものすごく幸せなこと。


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