雨のち晴れ


「ふぅ…」

私は歩きながらため息をつく。

今日はバイトはお休み。
夕方、私は久々に街へ来て歩いていた。

周りのショーウィンドウは、すっかりクリスマス仕様。
もう目の前まで迫ったクリスマス。

クリスマス…ねぇ。

紅葉を一緒に見に行ってから、私の中で正樹に対する何かが確実に変わった。
よく分からないけど、何かが。

でも、上手くそれを伝えられなくて。

コンビニで正樹に会うたびに、身体がグッと締め付けられるようなそんな気分になる。

私はボーッとしながら街を歩く。
人で溢れ返り、このキラキラとザワザワとした感じ。やっぱり私は苦手だ。


「……。」

そもそもなんでこんなところへ来たのか。

それは、クリスマスプレゼント。

絵里にしつこいほどに言われてしまったのだ。絶対に用意をしないとダメだと———


とは言っても…

何を買えばいいのかだなんて分からない。


困ったなぁ。

私はそう思いながら、ゆっくりあちらこちらを見渡して考える。

——とその時。

「あ…れ?」

反対側の歩道を見て、私は足を止めた。


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