雨のち晴れ
正樹…そんな大変な時期だったんだ。
仕事も年末に向けて繁忙期で、その上お母さんのこともあって。
身体的にも精神的にもいっぱいいっぱいだったんだ。
それなのに、私は―――
「ごめん、私…」
勝手に早とちりして、正樹がそんな人じゃないって私が1番知っていたはずなのに、疑いを拭いきれなくて。
信じたいのに、葛藤して、自分が1番辛いんだって、そう思ってた。
こんなのただの独りよがりで、ワガママ。
自分のことばっかりで、正樹の気持ちなんて何も考えてなかった。
この半年間、正樹の何を見て来たんだろう?
俯く私を正樹はそっと引き寄せた。
「あんな光景見たら誰だって不安になるよ。
もちろん紗子があれだけで、ここまでのことになるとは正直思ってなかったから、びっくりしたけど。」
正樹は困ったように笑った。
「宝石もお母さんのためだったんだね。」
「え?」
「前に街に行ったとき、その、香織さんと正樹が宝石店に入っていくのを見たの。だから、この間のことが自分の中で決定打になっちゃったみたい…」
「宝石……そうか、そういうことか。」
俯く私に正樹はあやすように私の背中を撫でる。
そして、しきりに頷くように「そうだったのか。」と言った・