雨のち晴れ
エピローグ
**エピローグ**
ずっと自分の人生に光なんて差さないと思っていた。
別に悲観をしていたわけではない。
ただ、淡々と毎日が過ぎていくものだと思っていただけ。
心の中はいつだって雨。
人を信じることなんて出来なくて、怖くて、裏切るんだって。
そんな私が、たった1人の男性との出会いですべてが変わったの。
――――「俺は、紗子を裏切らない。」
笑っちゃうけど、でもその言葉に嘘はなくて。
人の優しさも、温もりも、愛おしさも、全部彼が教えてくれた。
愛される喜びと、愛する喜びは私の人生に光を差してくれた。
景色に色が見えた。
心の中が初めて晴れた。
「ん…紗子、おはよう。」
朝、愛しい人が隣にいる幸せがこんなにも幸せなことだなんて。
私にとってかけがえのない人。
「今日のこの地域の天気は、雨のち晴れでしょう。」
テレビから聞こえてくる天気予報を聞いて私は微笑む。
―――雨のち晴れ。
正樹、ありがとう。
正樹と出会えて本当に良かった。
正樹と出会えて幸せだった。
これからも、この穏やかで温かい毎日が続きますように。
「おはよう、正樹。」
~END~