雨のち晴れ



新しい場所でも私は何も変わらなかった。

学校の先生より、施設の人たちの方がはるかに私を気にかけてはくれた。
けれども、やっぱり私は拒絶をし続けた。

同情なんていらないと。
私に関わるなと。


本当はどこか心の中で、大人が怖かったのかもしれない。

何を考えているのかわからない、いつ私を裏切るかわからない。


両親との別れが、いつも頭の片隅にべっとりとこびりついていた。


そんな私は、最初 学校では絶好のいじめのターゲットとなった。

何も言わない、何も感情を表さない。

多感な年頃の中学生にとって、標的を選ぶのに時間はかからなかった。


私は何もかもがされるがままだった。

シューズを隠され、ノートが破り捨てられ、体操着には落書き。
よくドラマで見るような典型的なタイプ。

暴力を振られることもあった。


けれども、私は何をされても、泣くこともなく、叫ぶこともなかった。

無反応だった。


痛くもかゆくもなかった。


よっぽどか親に見捨てられることの方が痛いものだと、この頃認識するようになった。



無反応な私が、逆に同級生には怖かったのかもしれない。

「感情のない、まるでロボット」だといつしか言われるようになれ、誰も私に関わらなくなった。

いじめは入学して3か月ほどでおさまったのであった。


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