雨のち晴れ



結局私はアイツの言う通りに交流館でレポートを作成していた。

ポツポツとノートパソコンのキーボードをたたく。


「はぁ…」

何やってんだか、私。

必ず迎えに行く、か…。

まるで私が欲しかったような言葉を、アイツはそのまま言ってくれた。
顔、やっぱり強張ってたんだ…。

自分の頬をペチリと叩く。


父親に捨てられた瞬間から、もう私の人生は終わってしまった。

マスターに出会うまではずっとそう思っていた。

でも、マスターに出会って、そんな思いは無くなった時もあったけど、再び一人になった時から、またそうやって思って生きてきた。

感情もなく、淡々と。

それでも、ふとした時によぎる、そういう嫌な感情や、昔のささいな思いはやっぱり拭いきれなくて…。


でも、あの時、まるでアイツにすべてを見透かされているような気がした。

そう、すべて、何もかも――



「うー…」

私は座りながら背伸びをする。

キーボードを叩き始めて何時間経ったのだろう。

お昼ご飯も取らずに、サクサクとレポートに集中していた。
さすがにお腹がすいた。

今、何時だろうと時計を見ると4時半を回っていた。


もう、そんな時間なんだ…

自分の集中力に驚いてしまった。


5時過ぎまでもう30分はなかった。




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