雨のち晴れ


真っ暗な街灯もない遊歩道。
何かの虫の鳴いている声だけが響く。

これほどまでにも人気がないとは思ってもみなかった。

なんか、気味悪いな…

そんなことを思いながら私は家へと急ぐ。

暑いはずの真夏の夜は、少しだけひんやりしているように感じた。


少し歩いて、私は足を止める。

ジャリ…

また私は歩き出して、そして足を止める。

ジャリ…


「……。」

何だろう、この足音。
誰かにつけられているのだろうか。

間違いなく、後ろから足音がする。

そして私が止まると、後ろの足音も止まる。


背中にひやりと汗が流れた。

私は、カバンをきゅっと強く持ち、かなりの早歩きで進み出した。

ジャリ…

まただ、やっぱり誰かいる。


どうしよう。怖くて後ろを振り返ることは出来なかった。

私は急に恐怖に襲われた、真っ暗闇に潜む迫りくる足音。

「っ…」

私は怖くなってついに走り出した。

大丈夫、もうすぐで遊歩道は抜けて大きな道に出るから、と自分を励ますように。

後ろからの足音も確実に、走る音に変わった。


そして次の瞬間だった―――

「きゃっ」

私は力強く肩を掴まれ、道端の植木の方に突き飛ばされた。



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