雨のち晴れ


「ん、どうかした?」

「なんで…?」

私はポカンとする正樹を見つめる。

「コンビニ…。わざわざ仕事終わったら、自宅を通り過ぎてこっちに来てるの?」

「あ、まぁ、そういうことだな。」

正樹は頭を掻きながら笑った。

私は言葉を失った。

あまり路線に詳しくはないけれど、コンビニと会社の位置は正反対。
電車でも軽く40、50分はかかる距離だ。

そして正樹の家の最寄り駅であるT駅は、はるかに会社寄りで、とてもじゃないけど、コンビニにわざわざ来るような場所ではない。

なんで?
そんな遠回りしてまで?

自宅を過ぎて、わざわざこんな遠いコンビニの方まで来て、そしてまたとんぼ返りするって言うの?

私、てっきり仕事帰りにちょっと寄るだけだと思っていた。

「ど、して…」

「何マヌケな顔してんだよ。俺、前に言ったろ?紗子に会って、パワーもらいに来てるの。」

「パワーって…余分に疲れるだけじゃない。」

「んなことねぇよ、毎日毎日、紗子に会いたくてたまんねぇんだから。別に苦になることじゃねぇし、んな顔すんなって。」


わざわざ…私に会うために?

「……。」

それなのに、私ってば、何も知らずに鬱陶しがって…



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