雨のち晴れ
不安定な事情
**不安定な事情**
「暇ですねー」
夏休み最終日の9月半ば。
だるそうに絵里が言う、店内にお客さんはゼロだった。
あと2時間ほどであがりだ。
「はぁ、台風って影響力すごいんですね。」
今、この地域には台風が接近していた。
明け方がピークみたいだが、すでに外は雨風が強くなってきている。
「絵里、今日はやる気ないです。だから紗子先輩とお喋りします!」
「あほ。」
「えー、いいじゃないですか!」
口を尖らせる絵里を無視して、遅れて届いた食品の荷出しをする。
「やっぱり気になりますか?」
「何を?」
私が絵里の方に顔をチラッと向けると、絵里はにんまり笑った。
「も・り・お・か・さん!」
その瞬間、私は頬の上あたりがピクッとなったのが自分でも分かった。
「きゃー、紗子先輩可愛い!やっぱり気になってるんですね!!」
「は…何言って…」
正樹との関係は相変わらずだった。
前に泊めてもらった時も、特に何事もなく朝を迎え(ただ、正樹は寝室で寝ていなくて、フローリングに布団を敷いて寝ていた、意味不明。)、一緒に家を出た。
そして、駅で別れた。
やっぱり改めて、私の家やコンビニとは方向が真逆なんだと思った。
その後も、正樹はコンビニにやって来ては私に茶々を入れ、絵里は横で楽しそうにそれを見ていた。
気が付けばそんな生活も3ヶ月くらい続いていた。