雨のち晴れ
「森岡さんどうしちゃったんだろうー?心配だなぁ。」
「もう面倒くさくなったんじゃない?」
私はそう言ってサンドウィッチを並べる。
そんなしつこいくらい来ていた正樹が、ここ1週間パタリと来なくなった。
本当に、突然に。
「あんなに紗子先輩のこと、大好きなのになぁ。」
「……。」
多分、今、自分でもものすごく怖い顔をしていると思う。だから絵里の方は見なかった。
ドクンと鼓動が大きく波打つ。
まただ、と―――
また、私の前から人がいなくなった。
信じてもいいと思っていた人に、裏切られた。
どうして、こうなんだろう。どうしてこんな風になってしまうんだろう。
ドロドロとした大きな塊が、私の頭の中を覆い尽くす。
『俺は紗子を裏切らない。』
『紗子、一度でいいから俺を信じてみて。』
何が裏切らないよ…
何が信じるよ…
結局あなただって、同じじゃない。
偉そうなこと散々言っておいて、私のこと裏切ってるじゃない。
もう、こんなことは本当にたくさんなの。
こんなことなら、最初から関わらないでよ。私何度も言ったでしょう?
はぁ、胸が苦しい。
おかしいな、私、前まではこんなんじゃなかった。
もっともっと強かったのに…