雨のち晴れ
…え、2人は知り合い?
「いやぁ、驚いたな。面影があるなぁって思って。立派になったねぇ、今いくつ?」
「27です。」
ニコニコと嬉しそうに話す男性の反面、どこか浮かない表情の正樹。
「そうかそうか、もうそんなに経つのか。あの時は大学生だったもんね。俺もおじさんになるはずだよ。」
「ははは、そんなことないっすよ。」
「仕事は?」
「保険会社に勤めてます。」
「おー、もうすっかり大人だね。」
そんな再会話に花を咲かせながらも、正樹はチラチラと私の方に視線を送る。
どうしたんだろう、お店の中で喋ってることが気になるのかな?
そんなこと、いつも私と話しているんだから気にしなくてもいいのに。
すると、絵里が「お客さんいないんで、裏行って発注して来ますね。」と言って、事務所に入った。
「にしても奇遇だなぁ。」
香山さんと呼ばれる男性が私の方を見た。
奇遇……?
「正樹くんは彼女とも知り合いかい?」
「えっ…あぁ、まぁ…」
「そうだよね、お互いマスターのとこで働いていたんだもんね。」
「えっ…」
今、なんて―――?
「世間は狭いね~まさかこんなところで、リベルタのバイトの子2人と出会っちゃうなんて、思いもしなかったよ。」
「……。」
ハハハッ、と愉快そうに笑う香山さんをよそに、愛想笑いの正樹と、言葉を失う私。