雨のち晴れ


マスター、会いたい。

そして私に安心をちょうだい。

いつものように微笑んで。


「……っ」

私、こんなに弱い人間なんかじゃなかった。

マスターがいなくなって、悲しくて、どん底だった。

それでも、どこかできっとまた会えるって信じて、今まで以上に強くなろうって思って生きて来た。


それなのに…どうしてこんなにも心が締め付けられるの?

正樹はマスターのことを知っている。


どうして、だってそんなこと一言も…


マスター、会いたい。会いたいよ…


「はぁー、終わりま……紗子先輩??」


絵里が戻って来て、私のただならぬ異変に気付いたのであろうか?


「絵里…」

「どうしたんですか?目、真っ赤……」

「ごめん、なんでもない。」

「そんな…森岡さん?何か言われたんですか?」

私は首を横に振る。

「紗子先輩のこと、傷付けたなら、絵里が殴ってきます!」

「ありがと、でも本当大丈夫。」


私がそう言うと、絵里は私の手を握った。


「先輩はひとりで何でもかんでも抱え込み過ぎです!先輩は一人じゃありませんからね!絵里がいます!いつでも頼りにしてください!」

絵里の言葉はとても力強いものだった。


私はその言葉に「ありがとう。」と小さく返した。


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