雨のち晴れ


「マスターは?」

「え?」

マスターが伯父なら、色々と知ってるよね?

「マスターに会いたい。」

「……。」

「今、マスターはどこにいるの?」

「……。」

今度は、しっかりと正樹の顔を見て聞く。

さっきまでの気持ちとは打って変わり、私の気持ちは高揚していた。

マスターに会えるかもしれない…と。

ずっとずっと会いたかったマスター、そんなマスターと私を繋ぐ人が今目の前にいる。

「ねぇってば。」

正樹にしては珍しく、私から視線を外し口を閉ざしていた。

「私っ…ずっとずっとマスターに会いたかったの。会える日をずっと待ってた。

正樹なら何か知ってるでしょう?マスターは今どこにいるの…?」

私の片腕を掴んでいた正樹の腕を取り払い、私は正樹の両腕をしっかりと掴んだ。


「あの人は……」

正樹は口をやっと開き、ゆっくりと私を見つめる。

だから、どうしてそんな顔をするの?

正樹のそんな悲しそうな表情、見たくない。


そんな正樹から出た言葉は、思いも寄らぬ言葉だった。


「あの人は、亡くなった………」



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