たとえばアナタと恋をして
9*
随分時間が経った気がするし、慌てて個室に戻ると、皆まったりと飲んでいて、いい感じにだらりとしている。


「お帰りなさい!夏生さん!!」

祐太君はとってもマメ。

「なーんか、柴巻って、妙に夏生に絡むのなーーー」

晃がお箸でぬか漬け3種盛りのお皿をつつきながら言う。

「やーだ妬いてんのー、晃!」

陽菜乃が笑い飛ばす。

うんうん、安定の酔っ払いトーク。


「妬いてねーけどー、夏生姫も陽菜乃姫も俺のだかんね」

「バカだねー!!あ、因みにあたしは彼氏のもんですので」

「陽菜乃さん、彼氏いるんスね」

「さっきも言ったしーー」

3人の、ぐたぐだトークを聞きながらメニューを見る。

酔いもさめたし、このまんま温かいお茶でも飲もうかな……


「夏生さんは?」

……はい?

「彼氏、いないんスか?」

祐太君が、またしても子犬のような眼差しであたしを見つめる。
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