たとえばアナタと恋をして
しばらくして、帰ってきた晃は飲み過ぎたのかテンション低めで、辛そうで……。

そっとしておいてあげればいいものを、トイレでリバースして元気一杯の遥南ちゃんがぺっとりと隣に座り、質問攻めにする。


「センパイ、この際、あの噂をハッキリさせたいんですけどぉ」


……声がまた高く、可愛らしいバージョンになっている。さすが。


「……んぁー?んだよ、噂って……俺もう飲み過ぎて中々限界なんすけど」


「んもー、あれですよ、あの。死ぬほど愛した彼女がいなくなり、それ以来誰も愛することのできない氷のココロを抱えたセンパイ……」


おいおい、話のスケールでかくなってない??

「そして、その氷を溶かせるたった1人を見つける為に、毎日女の子に声をかけるという……」


「おい、なんだそのメルヘンストーリーは。ピクサーの許可とってんのか」


晃がだるそうに答える。
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